先日11月15日、リドリー・スコット監督の最新作『グラディエーター2』が公開されました。
リドリー・スコット監督は同時に多くのカメラを回す「マルチカメラ」の撮影で有名です。
今回はリドリー・スコットのマルチカメラのメリット・デメリットについて分析します。
1.マルチカメラの概要
リドリー・スコット監督の近年の作品では、カメラにARRI ALEXA miniが用いられています。ALEXA miniは取り回しの良い小型のボックスカメラであり、これにAngeniex EZ-1, EZ-2のズームレンズなどを取り付け、使用するのが近年のスタイルとなっています。
最近のリドリースコット監督は、特にマルチカメラ撮影にこだわっており、『グラディエーター2』では最大11台のカメラを同時に回したそうです。

2.マルチカメラのメリット
- 自然なカットつなぎ
カメラは増やせば増やすほど、自然にカットを繋ぐことができます。たとえばカメラが1台しか無い時、会話している2人の顔を交互に映すには、撮影を2つのアングルから2回行う必要がありますが、カメラが2台あれば撮影は1回で終わります。演技の不一致がないため、より自然にカットを繋ぐことができます。また、撮影時間も2分の1に短縮されます。大規模映画の場合、撮影時間短縮による予算の削減効果は大きいでしょう。
- 演技の自由性の向上
マルチカメラで被写体を追うと、カメラの守備範囲が広くなるため、俳優はより自由に動くことができます。カメラ内で演技をしなければならないという制約を受けづらくなるため、より自然な演技を記録することができます。また、俳優たちは即興のアイデアを試しやすくなり、当初考えてなかったようなカットを撮ることができます。
3.マルチカメラのデメリット

- 監督と撮影との連携
カメラが増えるほど、監督の映像コントロールは難しくなります。どのカメラでどこを追うのか、どの画角で追うのか、全てを事前に打ち合わせする必要があります。リドリー・スコットは「俳優とはリハーサルしないが、撮影とはリハーサルをする」と言ったそうですが、このように撮影コントロールの上手な監督だからこそできる芸当なのかもしれません。 - 照明の作り込み
カメラを複数使用する場合、死角がなくなり、照明の作り込みが難しくなります。そのため、全てのカメラで照明が理想的になるよう、あらかじめ作り込む必要があります。これについても役者を入れる前の段階での綿密な準備が必要でしょう。
4.結論
以上、マルチカメラ撮影のメリットデメリットをお伝えしました。マルチカメラ撮影は自然な演技の記録を可能にしたり、撮影時間を短縮することができる反面、それをコントロールする監督の力量が必要と言えるでしょう。このような視点を考えながらグラディエーター2を見るとまた違った面白さが見えるかもしれません。
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